国内間での引越でも「これは新居に合うだろうか」「これは必要だろうか」と悩みの種でありますが、それは海外赴任にもつきものです。これから始まる海外生活が想像できず、「何をもっていけばいいのかわからない」と、よく赴任予定者からご相談されます。「海外に持っていくもの・処分するもの・国内に保管するもの」に取捨選択する作業は、赴任前の心身慌ただしい時期にはストレスです。きちんと吟味したはずなのに、荷物を開梱をしたときに「あれ?これいらないな」と思う駐在員も少なくないようです。弊社で赴任サポートをしている中で、特に多い引越関連の「困った」のひとつに、「船便荷物の受け取りに時間を要する」というものがあります。船便に入れた大きな家財がしばらく届かず、着任後の生活が困ったという声は意外と多いようです。そこで今回は、引越家財についてお話しましょう。
弊社にお寄せいただく駐在員の声
船便の受け取りに時間がかかるとは聞いていたので頭では理解しているが、思っていたより体感時間が長くて、不便だった。船便に入れた荷物も、生活立ち上げの際にすぐにあったら便利だった。
船便が届くまでは家財が何もなく、スーツケースや航空便の段ボールを机や棚の代わりにしていた。1か月後に船便が届くので、購入するのは無駄になってしまうから、臨時生活を我慢した。
家財がないと仮住まいのような生活だった。生活が整わないと本業に身が入らない。
簡単な家具は現地で購入しようと思ったが、搬送や組み立てに手間取ってしまった。帰任時に処分するのも手間だった。
現地で購入すると自己負担になるが、日本から配送すれば会社負担となるし、空き容量があったのでとりあえず運んだ。しかし、新居に合わず結局処分してしまった。
このような声を耳にすると、家財道具がすぐに手元にないがゆえに生活に困ったという声が多いことがわかります。
引越料金高騰の現実。物量減らしてといえぬ規程
引越関連の悩みは駐在員だけのものではありません。昨今の船便の運賃が非常に高騰していることは、会社側の悩みの種ではないでしょうか。このコロナ禍でのコンテナ船不足による海上輸送費の値上がりや港湾労働者の人件費高騰に加え、燃料がより一層高騰しています。ただでさえ高額だった船便の運賃が、時代の煽りを食ってしまっていると嘆く企業が多いです。
実際にどの程度高騰しているか見てみましょう。
右図は、コロナ禍以前と今時点での引越料金を、一般的な駐在員1人分の物量で比較したものです(日本発 仕向地 ニューヨーク)。航空便130%、船便140%の値上げがなされていることがわかります。これが家族帯同の場合、物量規定は2倍3倍となりますが、140%増の経費のインパクトがかかることになります。
規程で利用できる物量を明記している以上、「引越料金が値上がりしているので会社負担は規定物量の80%分にします」ということはできません。仕方なく規定物量上限まで支払わなければならないのが現実です。
企業側と駐在員の本音。ニーズのミスマッチが無駄を生む
上述のように、駐在員にとって、家財を船便で搬送することに対して満足度はさほど高くはありません。それにもかかわらず、企業側は高まる運送費を払わざるを得ないというのが現状です。
(駐在員の本音)
すぐに新生活を始めたい。でも家財が届かないから困る
届かないから現地到着後に購入したい。でも自己負担になるのは嫌だ
船便到着まであと1か月程度、我慢する。「日常生活」が送れず、本業にパフォーマンスが出せない
(会社の本音)
会社が日本からの引越費用を負担しているのに、不要かもしれないものまで運ばれている。
運んだはいいけど、現地で使われずに処分されているとは・・・引越費用がもったいない
このように、着任後に使われないかもしれないものに高額な輸送コストをかけている可能性があります。無駄になっているのは会社のコストだけではありません。駐在員の時間と労力も浪費してしまいます。引越家財の選定、着任後のセットアップまでの不便な生活、現地で新しく調達した労力など、駐在員がかけたものも無駄となり、駐在員満足度が下がる要因にもなります。
企業側が駐在員に望むことは、着任後すぐに日常生活を開始して、本業に注力をすることではないでしょうか。そのために企業側は、駐在員のストレスを極力軽減できるための支援をしたいものです。そして、無駄なコストをかけることなく、できる限りリロケーションコスト(経費)を削減できることも企業のミッションの一つでしょう。
駐在員が本当に望むことは?サーベイ結果から見える世界基準のニーズ
弊社グループ会社のAIRINC社が2022年に実施したサーベイで家財についての面白い調査結果があります。
「家具はどうしたいですか」という問いに、半数以上が、現地調達(現地で購入したい・借りたい)を希望と回答しています。
また、年代別に見ると、現地調達したい割合が26〜35歳の若手層では80%、56歳以上では70%とさらに高い結果となりました。家財を本国から船便で運ぶ時間や手間、またそれに付随する一時的な不便さを踏まえ、現地で購入もしくはリースをしたいという希望が高いことがわかりました。
しかしながら、このように家具の現地調達へのニーズが高いにも関わらず、多くの日本企業の現行規程では「現地でのリース代・購入費用を会社負担にすることを認めていない」ということは、残念ながら事実です。
家具リースという選択肢がもたらす企業・駐在員へのメリット
「引越家財として運ぶより、現地で調達した方が便利だけど、個人負担になるから買いたくない」「船便で大きな家財を運んだけど、結果的に必要なかったから処分した」。このように企業と駐在員間でニーズのミスマッチを起こしている場合にご提案したい解決方法の1つは、家具リースです。
必要なものを必要な期間だけ使用できる家具リースは、駐在員にとってストレスがなく使用ができます。専門のリース会社に依頼をすれば、入居日に搬入・組み立てをしてくれるため、入居初日から家具がそろった日常生活が始めることができ、また退去時も当日まで使用することができる安心感があります。このように、生活セットアップへの負担を軽減することで、本業により一層注力することができるでしょう。
実際にニューヨーク駐在中のご家族に話を聞くと、家具付き物件を希望するケースが多いことがわかります。特に駐在回数が多い赴任家族ほど家具付き物件を希望する比率が高く、いかに赴任時の引越のストレスや手間が多いかを窺い知ることができます。家具付き物件というとラグジュアリーなブランド食器や最新の家具家電がついた高級ホテルのような装いのものをイメージされるかもしれませんが、そういう贅沢をしたいという話ではありません。量販店の家具家財で充分なので、移動当日から「日常生活」を始められる家に入居したいというものです。駐在員を支える帯同家族も、出来るだけ不便ごとやトラブルを回避したいという本音があるようです。
現地で購入をする場合のデメリット
・駐在員本人にて配送や組み立て、処分という作業が発生
・大型家具を配送するための自家用車がまだない
・配送を依頼しても日本のような正確な「お届け日指定」が機能せずになかなか届かない
・会社経費の購入物のために、企業側は資産管理をする必要が発生
サステナビリティをより重視する傾向に
家具リースがもたらすことは駐在員満足度の向上やコストダウンだけではありません。船便の物量を減らすことは、ESGの観点で、CO2排出量の削減に貢献ができます。
下図はAIRINC社が行ったモビリティ動向調査2022年版の結果です。
日本企業はまだサステナビリティへの関心度合いは低いですが、グローバルでは約半数が何かしら実施・検討をしていることがわかります。これがグローバルスタンダードとして、今後ますますと日本企業はサステナビリティを意識した行動が求めらられていくことは自明です。駐在員の引越家財という部分的ところから、会社のESG実現に貢献してみてはいかがでしょうか。
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日本語対応ができるリース会社をご紹介します
弊社グループ会社のRelo Redac, Inc.では、アメリカを中心に運営している家具リース業者と業務提携しています。中には、日本語対応ができるリース会社や、全世界展開をしている会社もあります。貴社駐在員の居住地にあった会社を是非ご活用ください。
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